(初稿日:2012/05/14)
著者の谷山雅計氏は、「ガス・パッ・チョ!」「人生初はセレナ発」「Yonda?」「日テレ式」などの名作コピーを作られた方で、そんな偉人であるコピーライターの書籍になります。
内容は、谷山雅計氏がコピーを作成するときの姿勢や心構えから、コピーとはどういうものが望まれているのか等の考え方など、コピーライティングそのものを幅広く、かつ本質的にとりあげられておりました。
特に印象的だったのが、キャッチコピーにしろボディコピーにしろ、コピーは情景を現すただの文章ではなく、コピーを目にする人の問題点を解決するための文章ということです。
コンテンツや制作物を作っていると、つい作業的に説明文や内容の描写をだらだらと書き連ねてしまいがちですか、そのコンテンツや制作物を見る、読む方の解決に繋がるような表現方法を常に意識しておかなければいけないと改めて感じました。
また、キャッチコピーは短い方がよいとされている理由についても、すんなりと消化することができました。
本文中にも記載されておりますが、キャッチコピーは受けとった人がそのコピー内容を発信してくれる可能性があるため、発信してもらいやすいように、発信内容に認識誤差が生まれるのを少しでも防ぐために「短くする」という手段が有効とされているようです。
これはソーシャルメディアで情報が伝播する昨今でも共通すると感じましたし、より響くことの重要性は増しているのではないかと感じています。
短い文章がきっかけでも、時間を割いてでも見てもらえる、また時間を割いた分の見返りを少しでも返せるようなものをつくっていきたいと改めて思いました。
レバレッジメモ
発想法ではなく、発想体質を
本当にいいアイデアやコピーは発想法を知ればすぐに誰でもつくれるものではない。普段から、自分の頭を発想体質にしておく必要がある。
「なんかいいよね」禁止
受け手は「なんかいいよね」「なんかステキ」つくり手は「なぜいいのか」
「なぜ」を考え続ける。
偉大なつくり手に少しでも近づきたいなら、同じような思考をするしかない。
コピーの「書く」は、散らかす→選ぶ→磨く
散らかす…ひとつの商品や企業から、できるだけ多くの切り口や視点を探す。選ぶ…受け手にとって本当に意味があるものはどれかという視点で選ぶ
磨く…受け手にとってわかりやすく印象深いものにするため、言葉をブラッシュアップ
散らかす、選ぶのステップをないがしろにして、優れたコピーを生み出すことは中々できない。
対象となるモノは、いろんな人や他のモノと関係をもっている
たくさんある関係を書いていかないと、どうしても広がりに限界がでてしまう。その人たちにとっての正しさや幸せを考えてあげることができると、自分と違う人たちとモノとの関係性がみえてくる。
ボディコピーの書き方
上手に書きたいなら、いきなりボディコピーを書かないこと。対象となるモノについてのキャッチコピーを100本書いて、いいものをつなぎあわせたり、追加したり添削する。
良し悪しは、対象物への思考の深さで決まる。
コピーが書けない原因は文章力ではなく、書こうとする中身がないこと。対象についてよく考え、文章をつなげることよりも、そのプロセスで思考を深めていくことがカンジン。
コピーの第一の目的は描写ではなく解決
ありのままを描写するのではなく、現状を変えることができる解決の方が人を動かす可能性が高い。コピーのウソ
コピーに対するウソを自分で見抜けないと、人を動かせないコピーを書いてしまう。コピーを書いたときに、本当にこう思っている人はいるかをしっかり考える。
葉っぱから森へ
1本のコピーという葉を見つけたら、コピーの本質である幹の部分を考える。その幹には、ほかにどんな葉っぱがつくべきか考えて、木をつくっていく。
受け手もまた発信者
広告を見た人の見た時の気持ちだけでなく、それを人に伝えるときの気持ちも想像する。流通力をどこまで意識できるか。ダメ出しは制約ではなくヒント
クライアントのお金で広告をつくるからには、クライアントの目的にかなっていなければいけない。かといって、他人の幸せのために他人のお金を使ってやる。
他人まかせのクリエイティブになってはいけない。
力ずくで説得しようとしてはいけない
1本のコピーで大人数の相手に意識をねじ伏せようとするのは至難の業。相手に応じて自分の見せ方を変える。
相手は共感して、こちらの言い分を受け入れてくれやすくなる。
強い普遍は平凡のすぐ横にある
平凡に近いということは誰にもわかる間口の広さがあるということ。広い間口から入っても、思考や仕上げを徹底的に深く追求するから強い普遍をつくれる。
そりゃそうだ。そんなのわかんない。そういえばそうだね。
誰でもわかることは常識。ほとんどの人がわからないのが芸術。
「そういえばそうだね」は知っているのだけれども、普段は意識の下に眠っているもの。
言語化し蘇らせることでコピーの納得が生まれる。