「IAシンキング Web制作者・担当者のためのIA思考術」を読みました

2019年7月25日木曜日

2.レバレッジメモ

t f B! P L
(初稿日:2011/07/19)

最近の業務にて、SEOを行う際に要件定義から設計の入口までをガッツリと行うようになってきたのと、昨年末ぐらいからIAが気になりはじめいたので読んでみました

まず、本書ではIAの定義を以下のように使いわけられています

情報アーキテクチャ(Information Architecture)
概念や分野

インフォメーションアーキテクト(Information Architect)
専門家や役割、情報アーキテクチャを行う人

本文内からの引用ではありますが
「日本語の言い方はあらゆる面で、曖昧なままにしておくのに便利な言語」

確かに日本語というか日本人は、言葉を包むというかハッキリとしないことが日常から見受けることができますし、わたくし自身も否定できません。

その反対にIAは、ハッキリと視覚化することを重要としています。

どのようなWebサイトであれ目的があり、それを果たすために戦略が存在します。
こちらも引用ですが、戦略とはトレードオフで、
ターゲットユーザーを決めないことや利用目的を決めないことはトレードオフにはつながりません。

サイトの構築や画面設計においても、どの情報を優先し、どの情報をここでは伏せるのかはユーザーの利用目的によって異なってきます。

運営者側が表示したい情報を全て表示してしまうのは利用ユーザーにとって混乱をまねいてしまい、目的を果たすための戦略ではなくなってしまいます。

そうならないためにIAを使うことにより、エンジニアとの認識違いを埋めることに役立ちます。

ただしIAでは、「決まっている答えの暗記ではなくどう考えることができるのか」がスキルとなると著者の坂本氏は述べています。

そのとおりに本書では、IAを知識としてとりいれるだけではなく実践に活かすために役立つ本となっています。

最大の特徴は、各章のテーマを理解するための知識編と、実例をもとに考えて実際に手を動かす演習編の2種類があります。

演習編には坂本貴史氏が考えた回答がありますが、それが全てというわけではありません。自分で考えたことと回答とのすり合わせや回答にいたったプロセスを学ぶことが大事となります。

読むさい考えることが重要になるため、非常に時間がかかり、様々な実例を前に、「どのように考えることができるか」を養うきっかけとなる良書でした。

巻末に、著者である坂本貴史氏とデザイナーでありポッドキャスターの長谷川恭久氏の対談「WebにとってIAができること」は実務にて共感できることが多く
またWebの現状とこれからを垣間見ることができるので非常に参考になりました。

Web制作をエンジニアとして行っている方だけでなく、SEOやリスティング広告、アクセス解析に関わっている方にも非常に参考になるかと思います。
おすすめです!

レバレッジメモ

Webにおけるエコシステム

Web全体は様々な情報から成り立っており、それぞれのWebサイトが関係しあいつながっている。
Webの情報アーキテクチャを考える場合にも、「Webページ」「Webサイト」「企業がもつWebサイト群」と他サイトとの関係全体を捉えた巨大な「Webエコシステム」の4つの単位が必要。
現在では、WebサイトはT0Pページから順番に見ていくことも、全てのページを見終わってからサイトを移動するわけでもない。
Webのエコシステム全体を考え、どこからきてどこに向かうのか想定した上で、
より利用しやすいWebサイトを提供しなければならない。

Webサイトは様々なサイトが組織化され構造化されたもの

組織化されていない情報は「素材」となり意味をなさず、ユーザーが求めている回答にたどり着けたり、意図する方向へ人を誘導できる状態に構造化して、本当に価値のある情報となる。
意味のある情報にするには、情報の組織化と構造化が必要であり
組織化には「収集」「理解」「整理」「分類」、
構造化には「分類」「設計」「再整理」「構築」
という工程がある。
組織化、構築化を行って意味のある情報となったものがコンテンツとなる。
コンテンツには、ユーザーがそのWebサイトを利用する上で必要最低限のコンテンツと、オフラインとオンライン含めユーザーの行動プロセスを分解し、目的に沿って考える必要不可欠なコンテンツがある。

カードソーティングで情報を分類する

カードソーティングは、グループ化または階層化によって情報を分類整理する手法。
カテゴリの作成と、カードのグループ分けを行う。
メソッドを利用し「誰でも思いつく」見えている情報がどのような情報なのかを分解する。
次に、情報に隠れた見えない情報を読み取る。そして、「誰に」向けた情報かを決定する。
情報を扱う対象を想定して整理できるため、扱う情報を見やすく、使いやすくするのに役立つ。

サイトストラクチャの設計

ナビゲーションのデザインやコンテンツのラベル確認、ファイル配置などの物理的な構造を設計する際にサイトストラクチャが必要となる。
サイトストラクチャを書き出すために、「今自分が見ている情報がどこの情報なのか」を意識し、おおまかに全体を深堀りする。
次にトップページの構成から情報が階層で下っていける情報構造と、その情報構造には当てはまらない情報を区別し、Webサイトの全体像を把握する。
全体像を把握したら、Webサイト構造に沿ったナビゲーションを利用し、情報の深堀りをしていく。
Webサイトの基本構造をトップページと、その他のコンテンツ群、メインメニュー群、サブカテゴリー群、詳細コンテンツ群の4つの分類にわけて、コアコンテンツとなる部分への行き方を比較し調査していく。

ナビゲーションにおけるユーザビリティとファインダビリティの両立

ユーザーの行為には目に見える情報として「見る」行為だけでなく、クリックするなどの「使う」行為がある。どちらかに比重を置くことがないようにする。
ナビゲーションとページ内容は基本的には同じにするが目的によって効果的な場合は異なるものをおく。
ただし、ナビゲーションの種類や機能は共通化させる。
ラベリングはSEOを含めたキーワードランキングでの有効性を考えてキーワード設計する。
ページの目的によって有効的なナビゲーションを選択する。

情報アーキテクチャにおいての画面設計

ラベル設計、サイトストラクチャ設計、ナビゲーション設計の3つでは見つけやすさ、探しやすさを追求する。
下記の3点はおさえておく必要がある。
・どの位置にどういう情報が配置されているかわかるレイアウト
・利用方法をふまえてページ前後の流れに違和感がないナビゲーション
・ルールに沿って利用した際の挙動がわかる機能
Webには「行き止まり」や「末端」という概念はない。
孤立しているようなページでも検索エンジンからの直接流入を考えて行き止まりを作らないことが大切。

コンテクストを理解し設計する

Webサイトというインターフェイスを通じて、対話するインタラクティブコミュニケーションを考慮して画面設計をする。
ユーザーは、Webサイトに何かの目的を達成するためのステップとして流入する。
どこからきて、どこに向かうのか、Webサイトはどのステップでどういう役割を持つべきものなのか。
行動モデルをふまえて最終目的を考えた設計にする。
誰もが心の奥底にもっているイメージや仮説のメンタルモデルと、Webサイトの設計に差異があると使いづらいと感じる原因になる。
物の持つ属性(形・色・材質など)をどう取り扱かったらどのように機能するのかを、ユーザーに対して発しているアフォーダンスを盛り込むことで、わかりやすく使いやすいWebサイトにする。

「つながり」を持つWebサイト

Webサイトは単体で存在しているように見えるが、実際はあたかも何かと共存することを前提に考え、いくつかの「つながり」の中に存在する。
どことつながることが有益になるのか、単体ではなくインターネット上でどのように存在しえるのかを考えることが重要。
つながりなどの流入経路はアクセス解析結果を分析する。

仮説力が画面設計力につながる

設計過程を通じて求められるWebサイトやサービスの最適解を見つける。
そのために今あるWebサイトの画面要素を分解し、本来あった設計意図やニーズを仮説立てる演習を通じて、「こうしたいときにはこういう表現が最適」という逆引きの引き出しを増やす。
仮説力をつけることは画面設計で課題を解決するための手段の引き出しを増やすことにつながる。

画面構成から競合他社の戦略を仮説立てる

自社サイトと競合他社のサイトをグローバルエリア(ナビゲーションなど)、コンテンツエリア(本文)、リファレンスエリア(関連するリンクやバナーなど)の3つのエリアに分割し要素を書き出し整理する。
書き出した要素をエリアごとに比較し、共通点や相違点、特徴をみつける。
特に1画面内におさめる情報や構成の差は、ビジネス上の戦略により大きく異なる部分がみえる。
各社の目的や戦略的なねらいをワイヤーフレームから仮説立てる。

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