(初稿日:2011/11/07)
MBAといえば、経営に携わっている方や今後経営する必要性のある方が学ぶとの認識がありますが、本書の冒頭でもありますように、ビジネスに興味を持ちはじめた方やはじめて部下ができたといった方に最適な書籍です。
ヒジネススクールでは意思決定の擬似体験をするために、膨大な量の要件や前提を把握し整理、理解をしなければいけませんが、その前提部分をマンガにすることで頭に入りやすくしていることが本書の大きな特徴です。
全9話の短編マンガを読みすすめているうちに、あれ?ここは違うのではないかと気づくことが度々あり、多くの場合において、その気づきの部分がマンガ終了後の問題として取り上げ、読者に考えさせるようにつくられております。
自分だったらどうするか?この判断以外に選択肢はないのか?など、自分自身で意思決定ステップとロジックを掘り下げることにより、重要な気づきに触れることができるよい書籍でした。
レバレッジメモ
改革は段階を経て行う
改革には抵抗を和らげる解凍期、変革行動を実施する移行期、変革行動を定着させる再凍結期がある。変革の目的を共有せずに、みな同じレベルの当事者意識を持った変革行動を期待することはできない。
ピラミッド型伝達のメリットとデメリット
メリットは時間、人手、お金、手間などのリソースの節約が可能。また、どのような状況、方法で使えばいいか具体的に伝達することが可能。
伝達するたびに内容が変化しがちになり目的や意思の喪失につながる。
伝達回数を減らす、紙などのツールを使い安全性を高める必要がある。
意見をするときの反対派への接し方
影響力のあるインフォーマルリーダーを説得する。ルールで縛るのではなく、変わらないことへのデメリットの方が大きいことを
みんなで一緒に考えるようにしていく。
デメリットを消す、予防する、無視できる程度まで小さくすればメリットしか残らなくなる。
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)を使い有効に配分する
1、金のなる木資金の流入が大きく、市場成長率が低いため、大きな資金が確保できる。
2、花形商品
資金の流入は大きいが、市場成長率が高いため資金は確保できない。
3、問題児
資金の流入は小さいが、市場成長率が高いため、資金の流出は大きくなる。
4、負け犬
資金の流入が小さく、市場成長率が低いため、資金の流出は少なくてすむ。
花形商品は時間とともに市場は成熟し、金のなる木へ。
金のなる木は問題児に資金を流すことで、シェアを向上させ花形商品にするのが理想。
しかし、シェアが高いことが高利益が成立するのは、競争が弱く、経済状態が悪くない時代のことになる。
現実では、PPMだけで判断するのではなくフレームワークの1つとして取り入れる。
広告戦略が失敗する原因
広告が失敗するときは、広告そのものの内容の問題か、広告を届ける手段に問題がある。広告戦略をつくる際は、客観的データに自分の主観を無意識のうちに加えていないか注意する。
思い込みがつくるブラックボックス
多くの失敗は多々の思い込みによるもの。思い込みを見抜くにはデータによる客観的な証明が必要になる。
前提(勘、経験)の部分から疑ってみる、関係のある客観的なデータをそろえる。
1つの視点だけで結論をださないなどが有効になる。
施策の優先順位を考えて、参入障壁を高くする
業界自体に参入障壁のない業界ほど、さらに収益性が魅力的な業界であるほど参入障壁をいち早く打ち立てる必要がある。効果の魅力度、実現の容易度、順番によるシナジーを同じ基準で比較し施策をくみたてていく。
8つの参入障壁
1.規模の経済性大量生産をすれば製品1つ当たりのコストが小さくなること。
2.製品差別化
ほかには真似できない要素。
3.巨額の投資
競争のために巨額の投資を必要とする場合は参入障壁となりうる。
4.仕入先変更のコスト
新規の仕入先を調査するコストと時間、製品を設計し直すコスト、従業員を再訓練するコストなど、コストのすべてが参入障壁になりうる。
5.流通チャネルの確保
新規参入企業が自社独自の流通チャネルを準備していない場合は、流通チャネルの確保が参入障壁となりうる。
6.規模とは無関係なコスト面での不利
経験により製造コストが低下する経験曲線の効果があげられる。労働者がコツをつかむ、工場のレイアウトが改善される、製品設計の変更で製造が容易になる、など多用な要因がある。
7.政府の政策
政府の許認可制度や規制など。
8.参入に対して予想される報復
既存企業の報復を感知し、恐れて参入を思いとどまる例もある。
マーケティング環境分析3C
企業の環境分析の定番とされているのが、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)としてとらえ、個々に分析を加えていく3C分析。それぞれの3つを、自社にとってプラスとマイナス要因に分析するSWOT分析を行う。
競合に関しても、どの競合のどの製品におけるどの機能が、自社と比べて何%優れているか?まで掘り下げて超具体的に見ないと、抽象的な感覚での整理で終わってしまう。
マーケティングツールの4P
ある顧客をターゲットとして、狙うべきポジションが明らかになったら、どのようにそのターゲットに対して商品やサービスを提供していくか考える。その際に有効なフレームワークが製品政策、価格政策、チャネル政策、プロモーション政策の4つ。
マーケティング政策に基づいて様々な手段を組み合わせることで、具体的に政策を戦術、施策に落とし込む。
1.製品政策
決定した標的市場に対し、取り扱うべき製品群を設定する。製品の幅、深さ、品揃えについても設定する。
2.価格設定
製品の価格設定をすることは、価値を顧客へ表示するという側面と利益を直接創出するという2つの側面がある。
3.チャネル政策
製品を最終消費者へ到達させるのにどのような経路を利用すれば、最も効率的であるかの設定。
4.プロモーション政策
消費者に製品をPRする最適な手段について設定する。広告、パブリシティ(無料)、販促(狭義のプロモーション)、人的販売(セールスフォース)の4つに大きくわけられる。